「日本酒離れ」について思うこと |
私が思う「日本酒離れ」の原因は以下の通り。
1. 居酒屋での日本酒の扱いの悪さ
2. 日本酒に対するイメージの低下
3. 地酒ブーム
では、順に考えを述べさせていただきます。
============================
1. 居酒屋での日本酒の扱いの悪さ
まず、居酒屋で旨い日本酒が飲めないことが一番の理由だと思います。
いい店に行けば、いい地酒はなんぼでも置いてます。
でも、一合千円近く取られたりして高すぎることが多い。
そのくせ、保存状態が悪くて不味いこともよくあります。
吟醸なのに、ほとんど香りが飛んでしまってる、なんてことは日常茶飯事。
そもそも若者はそんないい店にしょっちゅう行けません。
だからこそチェーンの安い居酒屋に、そこそこのレベルの日本酒を置くべき。
(ここで言う「そこそこ」とは、大手メーカーの上撰クラスとします)
でも、ほとんど置いてないのが現状です。
「何を飲まされているかわからない」というのが現状です。
地酒を置いてる店は、ブームのせいもあって増えました。
ただ、これが総じて不味い。
いつ栓開けたの?っていうような代物ばかりです。
安い居酒屋で、せっかく張り込んで地酒頼んだのに不味いとなると、
そりゃ日本酒全体のイメージが悪くなります。
あと、居酒屋の日本酒の値段もおかしいです。
日本酒のレベルとして標準(と個人的に思っている)
大手メーカーの上撰は、店で買えば一升1,500円未満です。
スーパーや量販店やと、1,200~1,300円で買えることが多いかな。
それが居酒屋やと一合400円強。
一升で4,000円以上。三倍近くの差があります。
酎ハイとかカクテルとかの割り物を除けば、
原価と売価にこんなに開きがあるのは恐らく日本酒だけでしょう。
酒自体の品質と、品質管理と、価格。
扱いが悪いです。
============================
2. 日本酒に対するイメージの低下
最近は女性向け、若者向けの日本酒もたまに見かけますが、
それでもやっぱり、「日本酒=オッサン」のイメージは根強いと思います。
焼き鳥とか、ホルモンとか、食べ物の方はどんどん垣根がなくなっているのに、
日本酒の方はイメージが悪いまま。
ワイン、焼酎は過剰なブームが終わっても、
一定数のファンを残すことに成功しているように見受けられますが、
地酒ブームは、残念ながら、日本酒自体のファンをほとんど創出していません。
「旨い地酒を飲ませる店」が多少増えたくらいに感じます。
日本酒と言えば正月、成人式、結婚式、パーティなどの祝宴のイメージが強いですが、
それ以外では全く飲まない、という人がほとんど。
イメージの低下と言うよりは、他の酒のメーカーがイメージアップを図っているのに
日本酒メーカーはイマイチ何もできていない、と言う方が正しいかもしれません。
============================
3. 地酒ブーム
これについては個人的な意見でしかないのですが…
地酒ブームというのは、結果的に日本酒人口を減らしているように感じます。
「地酒」という言葉の定義は曖昧です。
「その土地で作られ、その土地だけで消費される酒」という解釈が、
ひと昔前であればできたと思うのですが、
スーパーや量販店で、様々な銘柄が買えるようになった今は
「大手メーカー以外の酒」ということでしか区別できなくなっていると思います。
大手メーカーは、どれも価格相応の味なのに対して、
地酒は玉石混交と言ってしまっても良いと思います。
味の好みは人それぞれであるものの、「地酒」だからといって旨いはずがない。
「山廃」「純米」「無濾過」「生酛」「吟醸」など、
用語だけが一人歩きして、実際それが何者なのかわからずに飲んでいる、
という人が多いと思われます。
そして、意外と多いのは、ローカルの普通酒を、特別な「地酒」と思って飲んでいる人。
外で日本酒は飲むけれど、手軽に買える(大手メーカーの)酒は飲まない。
なぜなら「大手メーカーの酒は不味いから」。
大手メーカーでも、旨いものは旨いのに。
まぁ本当に美味しい酒は自分で探すものです。
これはどの酒にも当てはまると思うのですが、
販売店、飲食店が一方的に、物珍しい「地酒」を推奨している現状は、
本当の日本酒好きを増やすことにはならないのではないかな、と思うのです。
============================
まぁいろいろと書きましたが、
「日常酒として日本酒を飲む」ことへの逆行が起こっている。
それが総論ですね。
じゃどうしたらいいのか、は、また次回考えます。
さ、日本酒飲もう!